多くの時計愛好家がそうであるように、私も数多くのG-SHOCKを所有している。そのなかにはHODINKEEによるすべてのリリースも始め、私が同社に入社する以前に購入したものも含まれている。ざっと見積もって、11本か12本というところだろうか。正直、何本あるか分からない。タンスの引き出しにしまい込んで、いつの間にか増えていることが多い。私のウィッシュリストも、同じくらいには長い。毎年、無限とも思える数の型数が発表され、それぞれがまったく違うので、私のブランド別ウィッシュリストのトップが別のG-SHOCKに取って代わられることもしばしばだ。
比較的手ごろな値段で“新しい時計”を手に入れたいと思ったとき、私はG-SHOCKのリストに目をとおし、ひとつひとつを消していく。言い訳をするつもりはない。しかし、今年の初めにG-SHOCKがGM-B2100AD-2AJFとGMW-B5000D-2JFという2本の新しいフルメタルモデルを発表したとき、G-SHOCKコレクションにもうひとつG-SHOCKを加える時が来たと感じた。
G-SHOCK GMB2100AD-2A and GMWB5000D-2
今、フルメタルのG-SHOCKが欲しくてたまらない。ロレックススーパーコピー代引き 激安ここ1年ほど、しばらく前に買い逃したGMW-B5000TCF-2JR(ブルーとグレーの迷彩チタン)をeBayで探していた。この時計は、GMW-B5000TVB-1JR(コッパーとブラックの迷彩)とGMW-B5000TCC-1JR(回路基板パターン、正確にはサーキットボード柄)と並んで、本当にクールな時計のトリオのひとつだった。しかし、それぞれ20万円前後と、私が“新しい時計を買う”ために使う数百ドルよりもはるかに“本格的な腕時計代”の領域に入り込んでいた。今に至るまで、私は10万円前後もするマッドマスターという選択肢を避けてきた。しかしそれは多くのバリエーションのうち、どれがいいか決められなかったからでもある。それもむべなるかな。マッドマスターは本格的なスペックの時計だからだ。しかしスティール製の新しいGM-B2100AD-2AJRとGMW-B5000D-2JRの価格は8万8000円(税込)と8万4700円(税込)で、私が精神的に正当化できるG-SHOCKのプレミアム価格のちょうど頂点にあると感じた。問題は、どちらが優れているかということだった。
G-Shock GA2100 1-A-1
筆者が初めて所有したG-SHOCK GA-2100-1AJF、通称“カシオーク”は、2020年のValue Propositionのために撮影された。
私の記憶では、私はG-SHOCKの長年のファンであり、GA-2100を初めて“カシオークと呼んだ人間”だった。変な話だが、それ以前にG-SHOCKという時計を所有していた記憶がない。GA-2100はそれ自体がアイコンとなり、そのValue Propositionの地位やデザインの素晴らしさについて、次から次へとストーリーが生まれた。私が2020年にHODINKEE Shopでフリーカメラマンとして稼いだ99ドルの資金で初めて買った時計でもある。多くの人がこの時計をメタルケースとブレスレットに改造したが、2022年にGM-B2100が登場し、どうやら彼らが望んでいたものを手に入れたようだ。私も欲しかったが、少しだけ納得がいかなかった。
G-SHOCK GMB2100AD-2A
GM-B2100は確かにクールだった。しかしちょっと奇妙に見えた。ケースは信じられないほど高度に磨き上げられ、プラスチックに樹脂のように加工した金属をコーティングした時計のように見えた。安っぽく見えるのではないかと心配になった。
新しいGM-B2100AD-2AJF(基本的には変わらないが、文字盤が大胆なブルーになっている)を箱から取り出したとき、縦49.8×横44.4×厚さ12.8mmのSS製ケースとブレスレットの重さに驚いた。事前にスペックを確認していたら、手首に装着したブルーメタルの“GM-B2100”の165gという重量に対して、心の準備ができていたかもしれない。オーデマ・ピゲのRef.16202(少なくともプラチナ製で約250g)より軽いとはいえ、このSS製のGM-B2100がブラックベイ フィフティ-エイト(145g)よりも重いのには面食らった。新しい素材であっても、この時計はG-SHOCKに期待される耐衝撃性、タフソーラーによる充電、200m防水、そして節電のためにニュートラルポジションにセットされ、暗闇から取り出すと正しい時刻に“巻き上がる”アナログ時・分針を備えている。
G-SHOCK GMB2100AD-2A
今、私の隣のテーブルの上に置いてあるそれを見て、もう1度手に取ったとしてそれほどしっかりとした時計に感じられるかと聞かれると分からない。私にとっては、そこが逆に魅力なのだ。超軽量素材について私が何を理解しているかにかかわらず、私の脳の一部は重厚さを品質およびプレミアム価格と同一視せずにはいられないのだ。手に取ってみると、1万5950円(税込)の樹脂製のGA-2100から8万8000円(税込)のメタル製にステップアップすることは、非常に理にかなったことだと分かる。
G-SHOCK GMB2100AD-2A
しかし近寄って見てみると、その高級感は少し薄れてしまう。ブルーの文字盤は目を引くが、今にして思えば、ロイヤル オーク “ジャンボ”を思わせるスティールとブルーの組み合わせに引かれてしまった私には、少しばかり鼻についてしまうかもしれない。確かにこれはオーデマ ピゲのコピーやオマージュを狙ったものではないが、ポリッシュ仕上げのケースだけでも十分に派手で、私が着用したときに時計界隈以外の友人からいくつか指摘を受けたし、ブルーの文字盤もそれほど目立ちはしなかった。「それって、ほかの時計みたいに見えるってこと?」。そうかもしれないし、違うかもしれない。しかし、どうやら一部の人々から見るとちょっとやりすぎに感じるようだ。
G-SHOCK GMB2100AD-2A
価格面での上昇は見た目だけでなく、アップグレードされたこの時計にはいくつかの機能も追加されている。GA-2100とは異なり、カシオのアプリとBluetooth接続することで、自動時刻修正、簡単な時計設定、約300の世界時間都市からの選択、時刻と場所の設定、より便利なリマインダーの設定、さらにはスマートフォンの追跡機能まで利用できる。私はさっそくボタンを押すたびに鳴るピピッという音をオフにする機能を使っている。どのモードに設定されているかは、9時位置の小さなパワーリザーブ風インジケーターで確認でき、ワールドタイム表示、アラーム、100分の1秒ストップウォッチなどのデジタル表示も備えている。しかしディスプレイはかなり小さく、これまで私はGA-2100を主に時間表示のためだけに使い、ほかのデジタルに関連する機能はすべて埃をかぶったままにしてきた。
次にブレスレットについてだ。読みやすさを考慮し、GM-B2100AD-2AJFとGMW-B5000D-2JF両方のフルメタルブレスレットについての私の考えをひとつの項目にまとめようと思う。というのも、実際に違いがあるのかどうかが分からないからだ。ブレスレットの上部と側面の主表面はわずかにサテン仕上げが施され、ベゼルと調和すると同時に、時計のファセットに見られる鏡面とは対照的なコントラストをなしている。サテンブラッシングは非常に繊細で、ブレスレットに施されたディンプル部のミラーポリッシュによって強調されている。
G-SHOCK GMB2100AD-2A
表向きはラグ穴の代わりにあるネジでブレスレットを時計から外すことができるが、その次に何するべきかは分からない。G-SHOCKを改造している人はたくさんのアイデアを持っていると思うが、私はブレスレットがケースとうまく一体化し、接続部を軽く押すだけで調整できることに満足した。リンクの両側にあるバネ棒型のピンを同時に押すだけで、簡単にリンクが外れる。私の7.25インチ(約18.4mm)の手首に合わせるために、4つのリンクを無理なく外すことができるほど、この時計には十分なリンクが付属していた。
G-SHOCK GMB2100AD-2A
GM-B2100AD-2AJFが私の目に少し平凡に映った最後の点は、デュアルLEDライトの存在だった。これはオリジナルのGA-2100に搭載された照明機能と同じものだが、あの照明がどれほど期待外れだったかを今の今まで忘れていた。文字盤とデジタル表示の両方を明るく照らすが、従来のG-SHOCKのバックライト表示と比べると見劣りする。もう一方の時計にもう1点加点したことで、(正式なレビューに入る前に)この戦いにおける私の方向性が見えてきただろう。
G-SHOCK GMB2100AD-2A
先に紹介した時計が他ブランドの別モデルに少し似ていたところで、GMW-B5000D-2JFが“クラシック”なG-SHOCK 以外の何ものでもないことに異論はないだろう。初代G-SHOCKであるDW-5000Cのデザインを踏襲しているが、今作ではケースとバンドの樹脂をスティールに置き換えている。このクラシックなスタイリングに引かれて、過去にフルメタルのモデルをいくつか検討したことがある。マッドマスターのような時計も好きだが、これはG-SHOCKのもっとも純粋な姿だ。
G-SHOCK GMWB5000D-2
サイズは縦49.3×横43.2×厚さ13mmとほぼ同じだ。ふたつの時計のケースバックを並べて見ると、もはや見分けがつかないだろう(下の画像を参照して欲しい)。ソーラー充電や多くの計時機能など、ほかの多くのスペックに変更はない(詳しくは記事の下部を確認してくれ)。デジタル表示が大きくなったことで、日付を確認したり、アラームをセットしたり、ストップウォッチを使ったりする機会が増えた。“GA-2100”では無視していた機能だ。
G-SHOCK GMWB5000D-2
さらに、GMW-B5000D-2JFにはマルチバンド6の電波受信機能も搭載されている。G-SHOCKでは珍しくない機能だが、まだ知らない人にとっては魅力的なものだろう。時計に内蔵された耐衝撃性を備えた小さなアンテナは、電波と同期して(窓の近くであれば屋内でも)時刻修正をおこなってくれる。アメリカでは、コロラド州フォート・コリンズのWWVBがその電波を発信している。地域については、G-SHOCKのウェブサイトで確認可能だ。まあしかし、さまざまな意味で、このふたつのどちらを選ぶかは個人の好みによるだろう。
G-SHOCK GMWB5000D-2
文字盤のアイコニックなレンガ模様(ブルーのアクセントが入っている)と、より高級感のあるバックライト付きディスプレイを見れば、GMW-B5000D-2JFが私にとってよりよい選択肢であることに疑いの余地はない。残念ながら私には無制限の予算があるわけではないので、時計の買い物に関しては、いくつかのルールやガイドラインを自分に課している。自分のコレクションのギャップを埋めてくれそうなものを吟味するだけでなく、そのブランドがもっとも象徴するものは何かということもよく考えるようにしている。41mm径のケースを買うくらいなら、ロイヤル オーク “ジャンボ”を買うのを我慢するのと同じだ。“GA-2100”のデザインはG-SHOCKのなかでも斬新で、2本の針がメカニカルな雰囲気を醸し出している。しかし、GMW-B5000D-2JRのほうがG-SHOCKらしさを感じる。鏡面仕上げのスチールケースは大胆すぎるというなら、PVD加工を施したGMW-B5000BPC-1JFもある。
G-SHOCK GMWB5000D-2
どちらの時計が勝つのか? 今にして思えば、私はすべての選択肢を十分注意深く見ていなかったような気がする。なぜなら、もしかしたらメタル製の“カシオーク”が私にふさわしい世界線もあっただろうからだ。GM-B2100PC-1AJFやGM-B2100BPC-1AJF、あるいは“フルメタルポリクロマティック”は、この時計が少し“鼻につく”という私の不満を解決してくれる可能性がある。それぞれの時計には異なる文字盤カラーとケースのコーティングが施され、オーデマ ピゲが見せる美学に偏ることなく、ブランドの製品にちょっとしたバラエティを加えている。しかし正確には、私の資金を多く割いたG-SHOCKの勝ちである。この記事を書き終わるまでに、GMW-B5000TCF-2JRとGW-5000U-1JFの“スクリューバック式オリジン”を注文し、さらに私がレビューしたふたつのモデルをオーダーした。私のG-SHOCKが不可解なほど増殖すると言ったのはご存じだろうか? 結局のところ、私にもその一端があるのかもしれないと思い始めている。
G-SHOCK GMWB5000D-2
G-SHOCK GM-B2100AD-2AJF。縦49.8×横44.4×厚さ12.8mmのSSケース、200m防水、スクリューバック。Bluetooth対応でスマートフォンとの同期が可能。アナログ表示による時・分にデジタル表示、高輝度ダブルLEDライト、ワールドタイム(38タイムゾーン)、1/100秒ストップウォッチ、カウントダウンタイマー、時刻アラーム、曜日・日付フルオートカレンダー(2099年まで)、針退避機能、12/24時間表示切替機能、6カ国語表示。クォーツ式のソーラームーブメント、ソーラー充電で7カ月(充電後、光にさらさずに通常使用した場合の駆動期間)、パワーセーブモードで18カ月。ステンレススティール製ブレスレット、3つ折りクラスプ付。価格:8万8000円(税込)
G-SHOCK GMW-B5000D-2JF。縦49.3×横43.2×厚さ13mmのSSケース、200m防水、スクリューバック。Bluetooth 対応でスマートフォンとの同期が可能。電波修正機能付き(マルチバンド6)。フルオートLEDバックライト付きデジタル表示(スーパーイルミネーター)、39都市から選べる5本のワールドタイム、1/100秒ストップウォッチ、カウントダウンタイマー、5本の時刻アラーム、曜日・日付フルオートカレンダー(2099年まで)、12/24時間表示切替機能、6カ国語表示。クォーツ式のソーラームーブメント、ソーラー充電で10カ月(充電後、光にさらさずに通常使用した場合の駆動期間)、パワーセーブモードで22カ月。ステンレススティール製ブレスレット、3つ折りクラスプ付。
昨年発表されたゼニス クロノマスター オリジナル トリプルカレンダー HODINKEE エディションは当初、アメリカのHODINKEE Shop限定で販売されていましたが、日本でも現在少数を展開しています。本作は、1970年に誕生したオリジナル エル・プリメロのプロトタイプを参考にデザイン。このプロトタイプは、当時A386にトリプルカレンダーとムーンフェイズを組み合わせ、わずか25本のみが製作された希少なモデルでした。本作では、エル・プリメロならではの3万6000振動/時のハイビート設計と、10分の1秒計測が可能なクロノグラフ機能を備えた、クロノマスター オリジナル用の新Cal.3610を搭載しています。過去の希少なアーカイブと現代的な技術の融合を象徴するモデルであり、その伝統と革新が魅力を引き立てています。
38mmのスティールケースにトリプルカレンダー、ムーンフェイズを収めた銀白色のインダイヤルが特徴で、さらにメテオライト(隕石)を素材として使用したことで特別感が際立っています。当日は展示された時計を実際に手に取り、その魅力を心ゆくまで体感いただけます。
当日はさらに、IWC スーパーコピーまた歓談の時間も用意していますので、当日は心ゆくまで時計愛好家同士の交流をお楽しみください。なおHODINKEE Japan編集部も参加予定です。会場ではぜひ気軽にお声がけください。
なお本イベントに落選した方にも本作の魅力に触れていただける機会をご用意しています。詳しくはご応募いただいた方に個別にご連絡をいたします(なおイベント当日は時計の販売はございません)。
そして日本で購入された方だけの特典として、腕時計の損害保険が付帯した会員サービス“HODINKEE Watch Care”(偶然の事故による故障にご利用いただける、3年間の腕時計損害補償)が付属します。イベントの詳細は、以下をご覧ください。
ゼニス×HODINKEE 限定モデルプレビュー会
日時: 2025年2月21日(金)18:00ドアオープン、18:30スタート、20:30クローズ
開催場所: ゼニス ブティック銀座 (並木通り)
住所: 東京都中央区銀座 6-7-16
定員: 10名(希望多数の場合は、編集部にて選考いたします)
参加費: 無料
応募締切: 2025年2月10日(月)23:59着信有効
備考: 落選した方でも、イベント前にお越しいただいて実機に触れる機会もご用意しています。なおイベント当日は時計の販売はございません。
※HODINKEE JapanのLINE公式アカウントを追加すると、今後いち早くミートアップやイベントの情報を受け取ることができます。
以下のフォームからご応募ください。定員を超える人数の応募があった場合は、抽選となります。当選者の方にのみメールで公式の招待状をお送りいたしますので、必ずご確認ください。
応募受付はこちらから
※現地集合、現地解散、会場までの往復交通費は当選者負担とさせていただきます。
※スケジュールは一例のため、天候や状況によって変更する場合がございます。
※応募者多数の場合は編集部より選考となります。当選者へは順次Eメールにて、ハースト婦人画報社よりご連絡させていただきます。落選者にはご連絡いたしません。あらかじめご了承ください。
※イベント開催日に、国からの営業時間に関する要請等が発令された場合、開催時間を変更してイベントを実施することがあります。
※お酒の提供があるため、イベントへのご応募は、満20歳以上の方に限定させていただきます。当日、会場でご本人様確認をさせていただく場合がございます。あらかじめご了承ください。
※当日会場で写真や動画の撮影があり、後日、ハースト婦人画報社やLVMHモエ ヘネシー・ルイ ヴィトン・ジャパン合同会社が発行または運営する雑誌、ウェブサイト、SNS、その他のプラットフォームに掲載する可能性があります。上記への掲載にご同意のうえお申し込みください。
日常使いに適したトゥールビヨンを展開するブランドは決して多くないが、そのなかでもH.モーザーはそうしたモデルを継続的に発表し続けている。今回、モーザーは最も実用的なトゥールビヨンモデルである40mm径のパイオニア・トゥールビヨン バーガンディをアップデートした。
Burgundy Tourbillon three quarter shot
このモデルの見どころは、何といってもバーガンディのフュメダイヤルだ。サンバースト仕上げが施されたダイヤルは、ベゼルに向かってブラックへとグラデーションを描く。ダイヤル外周にはレッドゴールド製のアプライドインデックスが配され、視認性を確保するために見返しにはスーパールミノヴァ®を用いた時刻表示が施されている。そしてもちろん、モーザーのクラシックなデザインを象徴するリーフ針も健在で、最信頼性のスーパーコピー時計代金引換専門店!こちらにもスーパールミノヴァ®が塗布されている。トゥールビヨンの開口部は非常に目を引くもので、このモデルの主役として位置づけられている。その存在感を際立たせるため、ブランドロゴは極めて控えめな表現として光が当たったときにのみ見える透明ラッカー仕上げが施された。
パイオニアのケースはそもそも比較的コンパクトだが、短めのラグもあって手首の上での収まりは良好だ。このモデルは5N レッドゴールド製ケースにバーガンディダイヤルを合わせた仕様であり、蛇のモチーフは見当たらないが旧正月を意識したカラーリングであることは間違いないだろう。ドーム型のサファイアクリスタルを備えたケースの厚さは12mmだが、ブランドによるとケース自体の厚さは10.4mmに抑えられているという。以前ステンレススティール製でブルーのパイオニア・トゥールビヨンを試したことがあるが、細めの手首にもよくフィットするつけ心地だった。サイン入りのねじ込み式リューズを採用し、12気圧の防水性能を実現しているため、トゥールビヨンを装着したまま泳ぐことだって可能だ。週末の楽しみ方によって、この時計を選ぶのも悪くないだろう。
moser burgundy tourbillon wrist shot
ダイヤルの開口部からは、改良されたCal.HMC 805の大型トゥールビヨンケージが見える。旧モデルのスティール製トゥールビヨンに搭載されていたCal.HMC 804と大きく異なるわけではないが、近年行われた3針ムーブメントのアップデートと視覚的に統一されたデザインとなった。ムーブメントの構造もより興味深いものになっており、ブリッジの多くがスケルトナイズされ、よりコントラストの効いたアンスラサイト仕上げが施されている。そしてもちろん、モーザーの象徴ともいえるダブルヘアスプリングがトゥールビヨンとともに存分に鑑賞できる仕様となっている。
興味深いことに、この時計にはカーキグリーンのラバーストラップが組み合わされている。防水性能を備えたトゥールビヨンにラバーは理にかなっているが、カーキグリーンという選択には少し驚かされた。ただ誤解しないでほしい。意外にもよくマッチしており、赤を強調しすぎるよりもバランスが取れていると思う。しかし、この配色がオーナーのカスタマイズではなく、ブランドの意図として取り付けられている点には少なからず意外性を感じた。
H.モーザー パイオニア・トゥールビヨン バーガンディの価格は1071万4000円(税込)で、すでに販売中だ。
我々の考え
この時計は非常に魅力的であり、トゥールビヨンを検討しているなら同カテゴリのなかでも優れた価値を持つ1本と言えるだろう。モーザーに対する個人的な印象だが、同ブランドの時計はコレクター向けという側面が強い。実際にモーザーのオーナーたちは、すでに多数の時計を所有しているという人が多い。このモデルも、まさにそうした層にとって興味深い選択肢となるはずだ。
同時に、高級時計の複雑機構を備えながら、あらゆるシーンで着用できる1本を求める人にとっても有力な選択肢となるだろう。モーザーの時計は目立つことを避けたい人にとっても適したものとなっているが、それでも腕元にソリッドゴールドの塊を乗せている以上、その点では限界があるかもしれない。
Tourbillon sitting on table
また、キャリバーを新世代のデザイン言語へと少しずつアップデートしている点も好感が持てる。過去のモデルも同様の仕上げに刷新されるのか、それとも新たなカラーバリエーションが登場して順次入れ替わっていくのかは気になるところだ。生産の観点から見れば、キャリバーの仕上げを統一する方が合理的だろう。いずれにせよこの時計を実際に手に取るのは楽しみであると共に、これを身につけてそのまま海へ飛び込むという豪快なオーナーに会うのも待ち遠しい。
基本情報
ブランド: H.モーザー(H. Moser & Cie.)
モデル名: パイオニア・トゥールビヨン バーガンディ(Pioneer Tourbillon Burgundy)
型番: 3805-0400
直径: 40mm
厚さ: 12.0mm
ケース素材: 5N レッドゴールド
文字盤色: バーガンディ
インデックス: アプライド
夜光: あり
防水性能: 12気圧
ストラップ/ブレスレット: カーキのラバーストラップと5Nレッドゴールド製クラスプ
Tourbillon on camera
ムーブメント情報
キャリバー: HMC 805
機能: 時・分表示、ワンミニッツトゥールビヨン
直径: 32mm
厚さ: 5.5mm
パワーリザーブ: 3日間
巻き上げ方式: 自動巻き
振動数: 2万1600振動/時
価格 & 発売時期
価格: 1071万4000円(税込)
発売時期: 発売中
限定: なし
中東市場が、近年の時計市場の成長において重要な役割を果たしてきたことはもはや周知の事実である。それも当然のことだろう。中東は時計との長い歴史を持ち、この地域にルーツを持つヴィンテージウォッチは、トップブランドのなかでも特に高い評価を受けている。その影響力は、同じ時期のアート市場における中東の投資にも及んでいる。しかし、これまでサウジアラビアでは一度も大規模な国際オークションが開催されたことがなかったという事実には、驚かされるかもしれない。しかしその流れは、2月8日にディルイーヤで開催されるサザビーズのOriginsオークションによって大きく変わることになる。
Paul Newman Musketeer
ロット116: ロレックス “ポール・ニューマン マスケティア” デイトナ Ref.6264
サザビーズのOriginsオークションは時計だけが注目されるイベントではないが、時計の出品は10点あり、そのなかに注目すべきモデルがいくつか含まれている。そのひとつがロット116 のロレックス Ref.6264、リシャールミルコピー販売おすすめ優良サイト“ポール・ニューマン マスケティア”デイトナだ。この個体はオリジナルオーナーが購入した際の書類が付属している点も魅力だが、特に注目すべきはインダイヤルのデザインである。通常のデイトナでは、インダイヤル全体に円形のテクスチャーが施されているが、“マスケティア”ダイヤルは異なる。円形デザインがダイヤルの約3分の2の範囲 までしか施されておらず、残りの部分は滑らかで傾斜がついているのだ。これはRef.6262および6264において最も希少なトリカラーダイヤルのひとつとされており、オークションでの推定落札価格は 16万〜32万ドル(日本円で約2470万~4950万円) に設定されている。
もっと資金に余裕があるなら、今回のオークションで最高額の推定落札価格を誇るのが、リシャール・ミル RM 038 “ヨハン・ブレーク”プロトタイプだ。その金額は100万〜150万ドル(日本円で約1億5500万~2億3200万円) に設定されている。この時計はジャマイカの短距離走者ヨハン・ブレーク(Yohan Blake)氏が、2012年のオリンピックで実際に着用したモデルである。オリンピックで使用されたトゥールビヨンウォッチはきわめて珍しいが、そのなかでもこのプロトタイプは別格の存在だ。ケースにはマグネシウム合金が採用されており、その重量はわずか44g。まさに次世代のスポーツウォッチと言えるだろう。
Yohan Blake
ロット117: リシャール・ミル RM 038 “プロトタイプ「ヨハン・ブレーク”
Yohan Blake
中東市場ではモダンウォッチが主流であり、今回のカタログもその傾向を反映しているが、ヴィンテージスタイルの時計もラインナップされている。その一例が2007年製のユニークピース、カルティエ クラッシュであり、推定落札価格は13万〜26万ドル(日本円で約2010万~4020万円)だ。さらに、中東にゆかりのある時計を求めるコレクターにとって魅力的なモデルも用意されている。その1例がプラチナ製ロレックス デイデイトIIである。このモデルの裏蓋にはオマーン国章のエングレービングが施され、王宮への納品が確認された証明書が付属する。オークションでの推定落札価格は6万〜9万ドル(日本円で約930万~1390万円)だ。
Unique Crash
ロット115: 2007年製のカルティエ “クラッシュ”、ユニークピース
Day-Date II ‘Royal Khanjar’, Reference 218206
ロット110: ロレックス デイデイトII “ロイヤル ハンジャル” Ref.218206
Day-Date II ‘Royal Khanjar’, Reference 218206
確かに、時計の出品は10本と決して多くはないが、これはサウジアラビアが国際的な大規模オークションを開催する市場としてどのように機能するかを試す貴重な機会となるだろう。個人的には特にデイトナとクラッシュに注目している。これらのモデルは、サウジ市場の嗜好を測るうえで最も大きな試金石になると考えているからだ。しかし今日の大規模オークションは、開催国だけに限られたものではなくなっている。もし動向を詳しく追いたいなら、電話やオンラインを通じて世界中からどれほどの入札があるかその頻度に注目すると、市場の動きがより明確に見えてくるだろう。